過去の作品展

【わたしのおにわ】

わたしのおにわ
martha(マーシャ)個展

会期:2022.6.2(木)---6.7(火)   
時間:12:00-19:00 最終日17:00
会場:igu_m_art
 
 
ふるいふるい家に生まれました
ひろいひろい庭と、くろいくろい林に囲まれた家でした

鏡のような薄墨色の水田
数えきれない蛍の乱舞、遠くの花火、見上げれば天の川
ざわざわと重たげにうねる金色の稲穂の波
しんしんと降り積もる雪は、何もかもを真っ白に埋め、静かに静かに光りながら凍りつく

ふきのとう、つくしんぼう
ほとけのざ、あかまんま、おおいぬのふぐり
しろつめくさ、つゆくさ、なずな
きゅうりぐさ、すみれ、たんぽぽ

藤、野薔薇、片栗の花
あやめ、あじさい、たいつりそう

父が子どもの頃に植えたという枇杷の木
祖母が大好きだった大きな大きな椿の木
梅の実、栗の実、柿の実、いちじく
それらを包み込む、黒々とした杉の木たち

だんごむし、みみず、あかとんぼ
紋白蝶と揚羽蝶
大きな蛾に大きなムカデ
アブラゼミとつくつくほうし
葉っぱの裏の蝉の抜け殻
でんでんむしむしかたつむり

あまがえるとやもり
ちいさなへびとおおきなへび
すずめ、はと、メジロ、きじ
夕闇に飛び交うこうもり
畦道に隠れたもぐら

柴犬のたろとちろとてつとこてつ
ある日いなくなった白い猫
蛇に食べられた白い文鳥
池の鯉は金色と緋色と墨色と

目が覚めて東を見れば、朝の黄色い太陽と、青と白に光る立山連邦が見えた

赤い赤い夕焼け空の中、静かに横たわる黒い林の影の奥には、玄関の灯りがいつも黄色く光っていた

玄関を入った左手、広間の大きな梁の上には、守り神さんの白い蛇がいなさるんだよって、明治生まれの曾祖母が話してくれた


そういうものたちが、あそこにはいました
私は、そういうものたちと一緒に育ちました

あの場所はもう無いけれど、私はこんな遠くに来てしまったけれど、それらは、今ここで生きている私の中に確かに息づいていて、
私を支え、守り、時には苛みながらも、ともに在ります


はじめての個展
私の根底に在るものたちに、お外を見せてあげたいと思いました。

これからも私が私であるために

これは、今も私のいちばん底に在る、お庭とおうちのお話です


martha(マーシャ)

1977年富山県生まれ。
家族全員が何か作るのが好きな家で、気がつけばずっと手を動かして何かを作っている子ども時代を過ごす。
大学進学を機に大阪へ。

2004年〜2016年 martha名義で雑貨やアクセサリーの制作と販売
2017年〜2021年 ユニットとして関西のギャラリーを中心に活動。
2021年よりソロ活動を再開。
アクリル画をメインに、オイルクレパスでのスクラッチ画、粘土・樹脂・刺繍などによる服飾雑貨やアクセサリー制作、小さい人形づくりなども行なっている。
テーマは「おまもり」「たからもの」「つながり」「ねっこ」。

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